2025年09月29日
Lee.Sanghyun Lee.Sanghyun
< 目次 >
リックソフト開発部社内の生成AI活用チームエンジニア、LEEです。
リックソフト社内では2025年9月現在、自社開発の生成AI活用Slackアプリ「AIrick(アイリック)」を社内Slackに搭載し、社員の業務効率化や業務支援を行っています。
今回の記事では外部のサーバーで動いているエージェントとエージェントを繋げるプロトコルA2A(Agent to Agent by Google)について紹介しようと思います。
加えて Agentとデータソース(DB, Atlassian 製品)を繋げるMCPも交えたデモエージェントを構築し動きも少しだけ確認してみましょう。
MCPは、Anthropic社が2024年11月にオープンソースとして発表したAIモデルと外部のデータソースやサービスをつなぐための共通プロトコル。
今回のメインテーマとは少し離れているので詳細は省きます。
MCPを用いて Atlassian製品とエージェントを繋いでいろんなタスクをやらせてみた Ricksoftの過去記事もありますので興味がある方は是非ご確認ください。
記事執筆時点である2025年9月だと生成AIを用いてサービス開発には数多くの課題が存在します。
RAGや MCPを使うと外部データソースを自然言語で探索することができ AIが持っていない情報をまるで知っているかのように返答してしまういわゆるハルシネーション現象を画期的に減らすことが出来ました。
それに伴い AIサービス開発の規模が大きくなり一つのサービスに対しエージェントの数が増えつつあります。
それに伴い1つのサーバーに大きなマルチエージェントが存在しすべての処理を抱え込む形が一般的でした。しかし、サービスの規模が大きくなるにつれて以下のような課題が浮かび上がってきます。
そこで出てきたのが A2Aです。
A2A (Agent to Agent) は、Google が提唱している エージェント同士をつなぐための共通プロトコル です。
名前の通り「エージェントとエージェントをつなぐ」仕組みで、異なる環境やサービス上で動いている AIエージェント同士が、標準化されたやり取りを通じて情報交換やタスク分担をできるようにするものです。
イメージとしては「人間のチームワーク」に近く、
のようにまるで社内部署を分けるかのようにエージェントを分けることが出来ます。
加えて全部署が必要とする社内ルール管理エージェントを1つのエージェントとして作り、各部署用のエージェントが共有することも A2Aを用いれば一貫性を持って実現が可能になります。
リックソフトでは常に新しい技術を習得し Atlassian製品との連携が可能かどうかを研究しています。
今回は A2Aの動作を確認する過程で Jira Service Management(以下、JSMという)のお問い合わせ検索エージェントも出てくるので
Atlassianと生成AIの活用を検討中であれば是非参考にしていただきたいです。
大まかな流れは以下になります。
規模が大きくなってもサービス中核である Client Handler Serverは修正がほとんどなく外部エージェントを自社開発・外部のものを導入するだけでサービス機能を増やしたり性能を調整できます。
外部エージェントの内どれを呼び出すべきか判定するのはサービスの質においてとても大事です。
これにはいくつかの方法があります。
一番実装が簡単です。ただし、あくまでツールとして扱われるためエージェントとしてのカスタマイズは限定的です。
エージェントは外部エージェントサーバーからエージェントの情報が書いてある Agent Cardというものを受け取りスコアリングし最も高いスコアのエージェントを呼び出します。 実装は少し難易度がありますがエージェントのカスタマイズ性を活かしつつ A2Aのプロトコルの利点をフルで活かせます。
今回のデモアプリでは「2」を採用しました。
理由はエージェントの呼び出し理由を可視化でき、呼び出すエージェントが複数必要な場合の調整も容易だからです。
ここからは実際 JSMチケット検索や為替変換依頼をエージェントが正しく判定し望ましいエージェントが呼び出されるか見ていきましょう
Invoiceは例として下記を使います。
各要素の両替後金額、トータル金額を整理してもらおうと思います。
# Invoice
**Invoice No:** INV-2025-0910
**Customer:** Ricksoft Co., Ltd.
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## Items
1. Atlassian License (Annual) ............ $1,200.00
2. Support & Maintenance (12 months) ..... $300.00
3. Cloud Hosting Fee (per month x 12) .... $480.00
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**Subtotal:** $1,980.00
**Tax (10%):** $198.00
**Total:** $2,178.00
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**Payment Terms:** Net 30 days
**Currency:** USD
両替エージェントが呼び出され最新情報を元に正しい日本円変換が出来ていることが分かります。
為替情報取得にはオープンソースAPIの「frankfurter」を利用。
今回はテスト用に作成したお問い合わせチケットをエージェントに検索してもらいます。
質問
Criticalがタイトルに含まれてるチケットを探してください
回答
今度は為替エージェントではなく JSMエージェントが呼び出され、JSMにあるチケットを抽出できました。
検証のため実際の JSMにチケットがあるか確認してみましょう。
デモ環境のチケット
しっかりチケットが存在していることが分かります。
今回はマルチエージェントの疎通プロトコルである A2Aを用いて簡単なマルチエージェントの構築を行いました。
JSMチケット検索だけではなく色んなニーズに合わせた AIエージェントの構築が可能なのでもし興味がありましたら是非リックソフトにお問い合わせください。
本情報はブログを公開した時点の情報となります。
ご不明な点はお問い合わせください。
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